水がなくなった用水路の泥の中に隠れていた瀕死の状態の3匹の赤ちゃんスッポンの保護

↑上のアイキャッチ画像は2022年8月3日の夕方に水のなくなった用水路で保護した3匹の赤ちゃんスッポンの21日後の様子です。元気に育っています。(2022年8月24日12:50撮影)

田んぼの中干し期間の水のなくなった用水路における小魚の保護

稲作シーズンが始まる6月上旬から用水路が堰き止められ、人為的に水位が上げられます。稲作シーズンは9月下旬まで続きますが、途中、7月下旬から8月上旬にかけて田んぼの中干しのため、用水路の水位が下げられる期間が10日前後あります。この期間の用水路の状態は10月〜5月の農閑期における用水路の状態にかなり近いのですが、この時、用水路の本流から分岐している小さい支流では水がなくなってきて最後にできる水溜りに小魚が濃縮されます。

用水路の水溜りから救出したメダカなどの小魚
この写真のいちばん奥が最後の水溜りができていた場所。ここで昼前に最後の救出活動をしました。この写真を撮影したのはその日の夕方の時点なので、すでに赤ちゃんスッポンの足跡はついていますが、昼前の時点ではありませんでした。底に堆積している泥に潜っていた赤ちゃんスッポンが水がなくなったので午後になって泥から出て来て歩き回ったことを意味します。(2022年8月3日18:20撮影)

用水路の水溜りから救出したメダカなどの小魚
朝に上の写真に水溜りがまだある頃に、そこに溜まっていた最後の小魚たちを網で掬って100メートル先の用水路の本流まで小走りで運んでリリースしました。もうこれで魚の救出作業は終了しました。リリース直前のポリバケツの中には水面にメダカがいるのがわかります。バケツの下の方には小さいフナやエビが多数いますが見えません。(2022年8月3日8:47撮影)

用水路の水溜りの中では日照りのよる水温の上昇と酸欠で死んでいく魚も多いのですが、アオサギやコサギやタヌキ、イタチなどの天敵によって捕食されてしまう魚も多いです。私は水がなくなりかける中干し5日目あたりから完全になくなるまでの間、毎日朝と夕方に救出作業を行っています。水を入れたバケツと網を持って行って、魚をごっそり掬って泥水のままバケツに入れて、用水路の本流まで小走りで運んでひっくり返してリリースするという作業です。できるだけ最後の1匹まで網で掬って救出します。本流に到達するまでの間に死ぬ魚は仕方ないです。助かる魚がいる限りこの作業をやっています。

小魚の保護の後に水のなくなった用水路の底にできた赤ちゃんスッポンの歩いた跡

2022年の中干し期間は小魚だけではなく、全く予想していなかった赤ちゃんスッポンの救出・保護を行うこととなりました。2022年8月3日の昼前までに魚の救出作業は終了し、干上がって最後の水溜りもなくなりました。もうこれ以上、この場所には魚はいないし、小魚以上の他の生き物もいないだろうと判断し、私は昼食のために帰宅しました。これで今年の中干し期間の救出作業は終わったつもりでした。そしてその日の夕方、水溜りがあった場所から赤ちゃんスッポンの足跡が始まっているのを偶然見つけました。これはまったく予想外の出来事でした。

赤ちゃんスッポンの歩いた跡
用水路の底の泥の上についている赤ちゃんスッポンの足跡と思われる等間隔に並んだ2本の筋。足跡が逆三角形のような穴が空いたところで消えているように見えます。(2022年8月3日17:51撮影)

その日の夕方、いつものウォーキングのコースのため干上がった用水路を通りかかった時に、用水路の底のコンクリートの上に堆積している泥の上に赤ちゃんスッポンの歩いた跡のようなものがついているのに気づきました。赤ちゃんスッポンのつけた跡のようなものが1匹分以上あるように見えました。しかし、その用水路の泥の上には赤ちゃんスッポンの姿はなく、足跡は途中で途切れていました。そして数メートル先には昼前までにはなかったタヌキのものと思われる足跡が多数ついていました。

タヌキの足跡
タヌキのものと思われる足跡が泥についていました。昼前まではなかったのですが、午後に水がなくなった頃に獲物を漁りに来たようです。(2022年8月3日17:51撮影)

私はもう赤ちゃんスッポンはタヌキや猫のような獣かカラスや白鷺類のような鳥に食べられてしまったのかもしれないと思いました。しかし、よく見ると足跡が途切れているところに平べったい二等辺三角形のような小さい穴が空いていることに気づきました。その時、もしかしてここに潜っていることはないかというのが頭をよぎりました。

赤ちゃんスッポンの歩いた跡
2枚前の写真の足跡の部分を拡大しました。足跡が途切れているところに平べったい二等辺三角形のような小さい穴が空いています。(2022年8月3日17:51撮影)

しかし、ウォーキング途中なので網も何も持ってきていません。ちょっと掘り起こすにも用水路の上から底まで届く棒のようなものは何もありません。そこで、近くの土手に生えていた背の高い草を根元からひっこ抜いて、茎の根元の方を使って足跡が途切れているところに空いている穴の辺りを掘り起こしてみました。すると、泥だらけの小さい塊が出てきました。そして動きました。よく見るととても小さい1匹の赤ちゃんスッポンでした。「おまえ、ここにいたんか!」と思わず声が出ました。驚いたと同時に、よくこの炎天下の中、ほとんど水のない泥の中にいて生きていたもんだ!と思いました。この日は熱中症アラートが出ていました。こんな日に水のない泥の中でよく生きていたものだと感動に近いものを覚えました。このまま発見されずに夜を迎えたら、この辺りを漁りに来る獣に食べられる可能性が非常に高く、運良く襲われなくて生き延びても、翌日の午前中には炎天下の中、干からびてしまうことになるのはほぼ間違いありません。

泥だらけの赤ちゃんスッポン
スッポンの足跡が終わっているところの三角形の穴を草の茎で掘ってみました。すると泥だらけの赤ちゃんスッポンがひっくり返ったまま手足を動かしていました。右側の棒はその辺りに生えていた背の高い草の茎。その棒で私の手が届くところまでスッポンを移動しました。(2022年8月3日17:53撮影)

泥だらけの赤ちゃんスッポン
泥だらけの赤ちゃんスッポンの部分を拡大しました。すぐそばには大きいエンマコオロギがひっくり返って死んでいるのが写っています。熱中症アラートも出ていた日なので、日中の日照りの過酷さがわかる写真です。明日の朝まで運良く生きていたとしても午前中にはこの赤ちゃんスッポンも干からびてしまっていたことでしょう。(2022年8月3日17:53撮影)

近くの公園の水道水で赤ちゃんスッポンの体を洗浄

泥だらけの赤ちゃんスッポン
泥だらけの赤ちゃんスッポンを手のひらに載せているところ。これから公園の水道水で洗います。(2022年8月3日18:01撮影)

とりあえず近くの公園に行き、水道の蛇口で赤ちゃんスッポンを洗いました。まだへその緒(ヨークサックが繋がっていた箇所を便宜的にへその緒と呼ぶことにします)がついていたので、孵化して0〜3日ぐらいと思われました。一般にへその緒は1週間前後で消えます。こんな生まれたての赤ちゃんスッポンがいきなり人間の都合で死にかけるというこんな災難(人災)に遭うことになって、とてもかわいそうな気持ちになると同時に、生きていくのは大変なことだということを痛感しました。とにかく一刻も早く水に入れてやろうと思い、急いで連れて帰りました。

泥だらけの赤ちゃんスッポン
泥だらけの赤ちゃんスッポンを水道水で洗いました。手の指の間に潜っています。(2022年8月3日18:03撮影)

赤ちゃんスッポンの腹甲
家に帰って玄関先で撮った赤ちゃんスッポンの腹甲。まだへその緒が新鮮に見えるので生まれてまだあまり時間が経っていない(生まれて0〜3日ぐらい)の赤ちゃんスッポンと思われます。甲長は2.7cm。(2022年8月3日18:07撮影)

2匹目と3匹目の救出作業と保護

私自身も少し落ち着いた頃、すでに18時は回っていました。ふと、まだあの場所に赤ちゃんスッポンがいるかもしれないと思いました。しかし、もう18時半近い時間で、日没も近く、明るいうちに作業をするにはあまり時間が残されていませんでした。それでも可能性のある限り助けてやろうと思い、妻に事情を話してもう一度出かけました。今度は網を持って行きました。

現場に着いて、赤ちゃんスッポンの足跡がついている箇所の末端をを全部掘り起こしてチェックしました。その結果、へその緒がまだある赤ちゃんスッポンがさらに2匹出てきました。

泥だらけの赤ちゃんスッポンがいた場所
この写真の中央付近を掘ると泥だらけの赤ちゃんスッポンが1匹出てきました。赤ちゃんスッポンの保護の優先のため写真撮影は余裕がありませんでした。左側には赤ちゃんスッポンはいませんでした。ここから出て来た赤ちゃんスッポンは今日この辺りの泥の中から出てきた2匹目で、一旦帰ってもう一度探しにきてから1匹目。来て良かったと思いました。(2022年8月3日18:20撮影)

泥だらけの赤ちゃんスッポンがいた場所
ここにも赤ちゃんスッポンが潜っているかもしれません。足跡の途切れているところに赤ちゃんスッポンの胴体の断面ぐらいの大きさの穴が空いています。(2022年8月3日18:20撮影)

泥だらけの赤ちゃんスッポンがいた場所
潜っているかもしれないと思った場所を少し拡大。足跡から行動を推察すると、この辺りをうろうろした後に、最終的にここに潜った可能性があります。(2022年8月3日18:20撮影)

泥だらけの赤ちゃんスッポンがいた場所
その場所をさらに拡大。赤ちゃんスッポンが潜った時にできたかもしれない穴が空いていることがわかります。ここを網の柄(農業用ポール)の先端で掘ってみました。するとここからも1匹出てきました。この泥だらけの赤ちゃんスッポンの写真はここでは保護を優先したため撮っていません。この赤ちゃんスッポンはこの辺りの泥の中から出てきた3匹目で、一旦帰ってもう一度探しにきてからは2匹目。(2022年8月3日18:20撮影)

泥だらけの赤ちゃんスッポンがいた場所
赤ちゃんスッポンが潜っていた場所の写真。ここでも赤ちゃんスッポンを掘り起こした時の赤ちゃんスッポンの写真は撮っていません。掘り起こした後の場所だけです。(2022年8月3日18:20撮影)

泥の中から救出された赤ちゃんスッポン
泥だらけの赤ちゃんスッポン2匹を網に入れたまま公園の水道の場所に移動しました。(2022年8月3日18:26撮影)

泥の中から救出された赤ちゃんスッポン
公園の水道水で泥を落としました。(2022年8月3日18:28撮影)

泥の中から救出された赤ちゃんスッポン
家に帰って玄関先で撮った2匹目(出直し捜索で発見した1匹目)の赤ちゃんスッポンの腹甲。まだへその緒が新しいので生まれて間もない(生まれて0〜3日ぐらい)と思われます。甲長は2.6cm。(2022年8月3日18:34撮影)

泥の中から救出された赤ちゃんスッポン
家に帰って玄関先で撮った3匹目(出直し捜索で発見した2匹目)の赤ちゃんスッポンの腹甲。まだへその緒が新しいので生まれて間もない(生まれて0〜3日ぐらい)と思われます。甲長は2.7cm。(2022年8月3日18:35撮影)

しかし、それ以上は見つかりませんでした。もしかしたら先の1匹をあわせたこれら3匹は干上がった泥の中から出てきたことによって足跡を残すことができたけれども、もし出てこなかった(あるいは出てこれなかった)赤ちゃんスッポンがいたとすれば、その赤ちゃんスッポンは今もまだ泥の中に入ったままなのだろうと思いました。その可能性は意外に高いかもしれないと思いました。なぜならば、保護した3匹はおそらくこの近くで卵から出てきたと思われるからです。赤ちゃんスッポンの兄弟がたった3匹しかいなかったとは考えにくいと思われます。しかし、足跡を辿ってしか泥の中の赤ちゃんスッポンに到達することはできないので、地上に出てきていなかったら探しようがありません。

確実に言えることは、今日救出された3匹は強運の持ち主であるということです。
1. 足跡を残してくれたこと(泥の中から出てきて避難しようとしたこと)
2. 私がその足跡を見て、「もしかしたら・・・」と思ったこと、そしてダメ元で掘り起こしてみたら最初の1匹がそこにいたということ(いなかったらあとの2匹の救出もなかった)
3. 帰宅してからもう一度行ってみようと思ったことでさらに2匹が救出されたこと
4. 夜になったら獣が嗅ぎ回ることが確実な状況で幸運にも日没前に救出できたこと
5. その日は熱中症アラートが出たとても暑い日で、あと1日は持たなかっただろうと考えられる厳しい状況だった中でその日の日没までに救出できたこと

これら5つの幸運が重なったことによって私に無事保護されるに至りました。3匹は命拾いしたと言えます。

赤ちゃんスッポンを保護することの意味

このように、瀕死の状態のスッポンが目の前にいる限り、私は看過することはできません。だから少し安全な大きさになるまで一時的に命を預かっています。そのあとは天敵の少ないところにリリースします。私が保護している赤ちゃんスッポンがいた用水路では、そのまま放置したら生きていけないのはほぼ確実です。生存率は0%だと思います。私の近所の用水路の辺りの年間を通じた環境変化と赤ちゃんスッポンの天敵の多さとその天敵の生態を10年以上研究して知悉しているといえるからです。だからみすみす放置するようなことはしません。逃げた場合は仕方ないですが、素手で保護できるような状況なので、できるだけ助けてやりたいと思って活動しています。

2022年に保護した赤ちゃんスッポンの保護時の背甲の写真はこちら →

2022年に保護した赤ちゃんスッポンの保護時の腹甲の写真はこちら →




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