稲作シーズン終了直前の水がなくなりかけた用水路の泥の中から保護した1匹の赤ちゃんスッポンNo.89

↑上のアイキャッチ画像は2022年10月4日の昼前に水のなくなりかけた用水路で保護した1匹の赤ちゃんスッポン(No.89)を1日後に手の平に乗せた時の様子。(2022年10月5日8:54撮影)

2022年6月上旬から堰き止められて水位が上がった用水路が10月の稲刈りを前に9月23日から下げられました。そして水位ががくんと下がって流れがなくなった用水路の水がだんだん少なくなって水生生物が濃縮されてきました。酸欠や温度上昇で死んで行く生き物も多い中、生き残っている生物を私は毎年網で掬いとって近くの水が流れている本流まで運んでリリースしています。その作業ができるようになるのはある程度水が少なくなった9日後ぐらいです(雨が降ったりしたらもっと遅くなります)。さらに5日ぐらい経った頃に完全に水がなくなります。それまで毎日救出作業を行っています。

そんな中、2022年はテナガエビが60匹以上獲れました。こんな年はこれまでの10年近くの中でもありませんでした。少しリリースあいましたが、残りはニホンイシガメの餌にします。

そして今年は4年ぶりに赤ちゃんスッポンを保護しました。2ヶ月前の水田の中干しの時に赤ちゃんスッポンを3匹(No.72〜No.75)を保護しましたが、2022年は秋の稲刈りの時期に4年ぶりに赤ちゃんスッポン(No.89)を保護しました。甲長は2.7cmで、孵化してから1週間以上は経っているとみられるものの、とても小さい赤ちゃんスッポンが1匹保護されました。この記事では、その保護までの経緯や飼育の状況を紹介します。

水位が下げられてか12日後に用水路の最後の水溜りで保護した泥だらけの赤ちゃんスッポンNo.89(2022年10月4日)

用水路
水位が下げられてか12日後の用水路の最後の水溜り。この写真の中央付近に赤ちゃんスッポンが背中と頭を出していたのですが、デジカメで写真を撮る前に泥の中に潜って隠れてしまいました。(2022年10月4日11:39撮影)

赤ちゃんスッポン
赤ちゃんスッポンが潜った辺りを網で掬ってコンクリートの上に泥を出してみました。すると、泥まみれの赤ちゃんスッポンが1匹いました。(2022年10月4日11:40撮影)

赤ちゃんスッポン
赤ちゃんスッポンの部分を拡大しました。(2022年10月4日11:40撮影)

赤ちゃんスッポン
泥塗れの赤ちゃんスッポンを指でつまんで持ち上げて撮影。(2022年8月4日11:40撮影)

赤ちゃんスッポン
赤ちゃんスッポンの部分を拡大しました。この赤ちゃんスッポンはNo.89になります。(2022年10月4日11:40撮影)

赤ちゃんスッポン
赤ちゃんスッポンNo.89の背甲。10日前後ぐらい泥の中にいたためか、黄色いものが付着しています。甲長は2.7cmです。(2022年10月4日14:59撮影)

赤ちゃんスッポン
赤ちゃんスッポンNo.89の腹甲。ヨークサックが付いていた部分を便宜的に「へその緒」と呼ぶことにします。へその緒は消えているので、孵化してから少なくとも1週間は経っていると思われます。(2022年10月4日12:43撮影)

保護して1日後の赤ちゃんスッポンNo.89(2022年10月5日)

赤ちゃんスッポン
翌日に赤ちゃんスッポンNo.89を手のひらに乗せて撮影。(2022年10月5日8:54撮影)

赤ちゃんスッポン
背中はけっこうざらざらです。(2022年8月5日8:54撮影)

赤ちゃんスッポン
口を開けています。(2022年10月5日12:56撮影)

結果と考察(2022年10月5日現在)

この赤ちゃんスッポンNo.89が入っていた卵(孵化した卵)は、田んぼの中干しが終わって用水路の水位が上がったほぼ2ヶ月前の8月上旬頃(8月10日前後?)に、この用水路のこの場所の上流のどこかの土手の土の中に産み落とされたと考えられます。当該保護場所はこの支流の下限に当たります。この場所で堰き止めてここの田んぼに水を入れるために使われている板がこの支流の下限です。しかし、上流のどこかにあると考えられる土のある産卵場所については、今のところ心当たりはありません。しかし、赤ちゃんスッポンはこの板でできた滝を下って上流から下流へは移動できますが、逆に下流の方からこの板を登って上流側に来たとはとても考えられません。よって、産卵場所はこの板より上流のどこかであることは間違いないと思います。今回保護した1匹の赤ちゃんスッポンには兄弟がいたはずですので、何匹かはこの滝を下って下流に流されて行ったかもしれません。仮にいたとして、今頃生きているかどうかはわかりません。この板より下流の領域は稲作シーズン中は水深は2メートル以上あるし(オフシーズンはほとんど水がなくドブになっています)、コンクリートの側壁と底で隠れ場所が少なく、水草もほとんどなく、体長50cmを超えるナマズやライギョも大量発生している、赤ちゃんスッポンが生き延びるには最悪の環境だからです。大きいスッポンもいるので、共食いで食べられてしまうかもしれません。そういう意味ではこの堰き止め用の板より上流で干からびたり天敵の餌食になったりする前に私に発見・保護されたことはとても幸運なことだったかもしれません。

2022年に保護した赤ちゃんスッポンの保護時の背甲の写真はこちら →

2022年に保護した赤ちゃんスッポンの保護時の腹甲の写真はこちら →




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